この記事ではイギリスの投資型個人年金制度SIPPに関して説明したいと思います。SIPPはイギリスの投資型個人年金制度です。日本のiDeCoに近い制度です。私の結論としては、この制度は定年まで確実に使わない余剰資金がある人には良い制度だと思います。節税できます。しかし、55歳までは引き出せないので、SIPPへの入金は慎重に考えてから行ったほうが良いと思います。私はとりあえず55歳ぐらいになるまでは積極的には使わないことにしました。
イギリスのSIPPの概要
この制度のメリットは、SIPPに入金した資金に関しては、年金同様に所得税が掛からず、運用益にも運用中は税金が掛からないことです。しかし、SIPPから引き出す時、25%は非課税で引き出すことができ、残りの75%には通常通り所得税がかかります。この制度の最大のデメリットは55歳まで引き出せないことです(2028年に57歳に引き上げられるようです)。
SIPPで保有できる投資先は
- 株式
- 債権(国債、社債)
- ETF
- ファンド
- 現金
- 商業用不動産
- など
と幅広いです。SIPPに投資できるの上限金額は年に40,000ポンド(2020/21年度)。税引き前の年収が40,000ポンド以下の人は給料の100%まで投資可能です。年収が240,000ポンド超える人に関しては上限金額が減額されます(240,000ポンドを2ポンド超えるごとに1ポンドずつ4,000ポンドまで減額)。無収入でも3,600ポンドまでSIPPに投資可能です。
SIPPに関する私の結論
この制度に関して色々調べてみましたが、一概にどういう時にSIPPが有利になるとは言えないことが分かりました。個々人の状況に依存します。有利不利は、現在の所得税率と引退後(又は引き出す時)の所得税率にも依存しますし、状況によってはISAのほうが有利になることもあります。住宅ローンの金利と投資の予想利回りなども考慮する必要があります。また、職場に投資型年金制度がある場合はそちらを使ったほうが良い場合が多いと思います。私の意見としては、現段階で定年まで(55歳までではなく)、絶対に使わない資金がある人はSIPPの活用を考えてもよ良いと思います。その場合は節税できます(しかし、状況が変わって定年前に引き出したくなった時に損失が出る可能性もありますので注意が必要です)。現在、定年まで確実に使わない余剰資金がない人はSIPPのことはあまり考えなくて良いと思います。SIPPの活用を考えている方は一度専門家に相談するか自分で詳しく調べたほうが良いと思います。
私の結論としては、現段階ではSIPPは積極的には使わないことにしました。使ったとしても少額(給料の数%程度)しか使わないと思います。投資は普段から行っていますが、当面は(55歳ぐらいまで?)はより柔軟性のある免税制度のISA(日本のNISAと同様の制度)で運用して行く予定です。ISAは日本のNISAと同様の制度です。詳しくは別のブログ記事を見てください。[イギリスの個人向け非課税制度ISA (Individual Savings Accounts)]
SIPP vs 職場の投資型年金制度
SIPPを使う前に職場の投資型年金制度を使うことを考えたほうが良いと思います(職場に制度がある場合)。職場の制度を使うと職場が追加で資金を入れてくれることがありますので、そのような制度が使える場合はSIPPより職場の制度を使ったほうが良いと思います。私は職場の追加資金目当で職場の投資型年金に少額積み立てしています。
しかし、今回SIPPに興味を持った理由は、今回のコロナショックで職場投資型年金制度に色々問題を感じたからでした。まず、投資先の選択肢が非常に限られています。例えば株式に投資する場合、選択肢はイギリス株式、世界株式、成長株などと投資先が限られています。私は現状アメリカ株が一番良い投資先と考えていますが(GAFAなどの超巨大企業が世界中から富を吸い上げていることと軍事力などを考慮して)、アメリカ株のみに投資するオプションがありません。また、債権に関しては選択肢が一つしかありません。少なくとも、国債か社債か、ドル、ユーロ、円ぐらいは選ばせてほしいところです。また別の問題として、投資先を変更したい場合でも月末まで待たないと変更されないという問題にも気が付きました。現状、金額が小さいので放置していますが、10年後ぐらいに別の大暴落が来た時にこのまま放置しておくのは良くないと感じました。
55歳以上の人で余剰資金のある人はSIPPを積極的に使ったほうが良さそう
55歳以上の人はこの制度を積極的に使うと良いかもしれません。特に所得税率が40%になっている所得に関しては、可能な限りSIPPに入金しておき、引退後に所得税率が20%になった状態で、SIPPから引き出すと税率を40%から15%に下げて引き出すことが出来ると思います。私は55歳以降もイギリスにいる場合は、55歳ぐらいから節税目的でSIPPを積極的に使い始めるかもしれません。
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