イギリスの税金(2022-2023年度)と節税について調べたので記事にまとめました。この記事は以前書いたイギリスの税金と節税に関する記事の改訂版です。以前の記事は情報が若干古くなっており、また、若干の間違い、誤解もありましたので、この記事でそれらに関しても修正したいと思います。この記事は私が興味のあるところを簡潔にまとめただけですので、若干不正確なところもあると思います。正確な情報はオフィシャルサイト(GOV.UK)で確認してください。もし間違いを見つけたら教えていただけると助かります。
イギリスの所得税
所得に関しては以下のように税金がかかります(2022/2023年度)。
- 12,570ポンド以下の課税所得に対しては0%
- 12,571から50,270ポンドの課税所得に対しては20%
- 50,271から150,000ポンドの課税所得に対しては40%
- 150,000ポンド以上の課税所得には45%
ここで誤解してほしくないことは、例えば課税所得が20,000ポンドだとすると20,000ポンドの20%の4000ポンドが税金になるわけではないということです。20%の税金は12,570ポンドを超えた課税所得に対してのみ20%の税金がかかります。20,000ポンドの課税所得に対する税金は、(20,000-12,570)x0.2=1486ポンドになります。また、収入ではなく課税所得に対して税金がかかることにも注意してください。課税所得は収入から税控除、経費などを差し引いた金額です。
https://www.gov.uk/income-tax-rates
イギリスで使える税控除
利息(預金、債権など)
500-1000ポンド程度の控除がある人が多いと思います。条件が複雑ですので詳細は以下の政府のサイトをご覧ください。大まかな目安としては所得税率が20%の人は大体1000ポンドまでは免税で、それを超えた分には20%税金がかかります。所得税が40%の人は500ポンドまで免税で、それを超えた分には40%の税金がかかります。
Income Tax band | Personal Savings Allowance |
---|---|
Basic rate | £1,000 |
Higher rate | £500 |
Additional rate | £0 |
https://www.gov.uk/apply-tax-free-interest-on-savings
配当金
- 2,000ポンドまでは無税
2,000ポンドを超える部分に対しては
Tax band | Tax rate on dividends over the allowance |
---|---|
Basic rate | 8.75% |
Higher rate | 33.75% |
Additional rate | 39.35% |
https://www.gov.uk/tax-on-dividends
自営業、副業(self-employed)からの収入
- 1000ポンドまで無税。https://www.gov.uk/working-for-yourself
家賃収入
キャピタルゲイン(株や家等の値上がりによる利益)
- 他の収入がない場合、12,300ポンドまで無税 https://www.gov.uk/capital-gains-tax/allowances
- キャピタルゲインの利益が12,000ポンドを超える部分は20%(家以外)か28%(家)ぐらい(収入によって若干の変動あり)。
- マイナス分は利益と相殺できます。またマイナス分は2年繰り越せるようです(多分)。https://www.gov.uk/capital-gains-tax/losses
- 自宅を売る場合は大体税金はかかりません。https://www.gov.uk/tax-sell-home
キャピタルゲインは株、家、6000ポンド以上の価値のあるもの(車は除く)などの値上がり益にかかってくるようです。ギャンブルや宝くじには税金はかからないようです。
イギリスで使える節税策
年金
年金は働いている人は、何らかの形で払っていると思いますが、この年金の支払い分(企業年金に自らの意志で追加した分や個人年金(SIPP)も含む)に関しては、働いている段階では所得税がかかりません(SIPPに関してはこの記事を見てください)。しかし、年金を受け取る段階で税金を取られます。後で税金がかかれば同じことじゃないかと思われるかもしれませんが、そうでもありません。SIPPなどに入金した資金に関しては1/4の資産に関しては税金がかかりません。また、働いている段階で所得税率が40%になっている場合、所得税が40%になっている所得を年金口座に入金すると40%の税金をとりあえず払わずに先送りできます。老後の収入は減る人が多いと思いますので、引退後に所得税率を20%に下げて年金口座から引き出せる人が多いと思います。更に、この年金口座の投資の運用益にも引き出すまで税金がかかりません。賢く使えば、節税と投資益でお得になる可能性があります。しかし、デメリットとしてはSIPPなどに入金した資金は55-57歳まで引き出すことが出来ませんので、利用はよく考えてから行ってください(住宅ローンなどを先に払ったほうが良い場合もあると思います)。
自分のビジネス(自営業)に必要な経費
例えば
- オフィスのコスト
- 交通費
- 服(ユニフォーム)
- スタッフコスト
- 仕入れのコスト
- ファイナンシャルコスト:保険や銀行の手数料
- 光熱費
- 宣伝費
- ビジネスに関連したトレーニングのコスト
また資産性のあるコスト、例えば
- 車
- 産業機械、装置など
も含める事ができます。
これらのコストを収入から差し引くことができます。但しこれらは1000ポンドの控除と併用はできません。
また、個人とビジネスの両方で使用しているもの、例えばスマホを仕事とプライベートの両方で利用している場合は、ビジネス分はビシネス分としてコストに含めることができるようです。また、家で働いている場合は
- 光熱費
- カウンシルタクス
- 家賃(ローンの利息)
- ネット
などを一部経費にすることもできます。部屋の面積や仕事に使っている時間などをもとに計算するようです。
https://www.gov.uk/expenses-if-youre-self-employed
雇用されている仕事に必要だけど自分で払った経費
この経費に関しては税金分が免除されます。税率が20%の人であればこの経費の20%が戻ります。認められる経費の例は
- 仕事用の服やツール(ユニフォーム、安全靴、工具など)。https://www.gov.uk/tax-relief-for-employees/uniforms-work-clothing-and-tools
- 仕事に使う車やバイクの経費。この経費に普段の通勤は含まれないようです。配達などの仕事を自分の車等でしている人を前提としていると思われます。https://www.gov.uk/tax-relief-for-employees/vehicles-you-use-for-work
- 交通費、出張費。この経費に普段の通勤は含まれないようです。出張だと通常、会社が払うと思いますが、自分で支払う場合は経費にできるようです。https://www.gov.uk/tax-relief-for-employees/travel-and-overnight-expenses
- プロフェッショナルな組織のメンバーシップのコスト。学会などのメンバーシップのコストでしょうか。https://www.gov.uk/tax-relief-for-employees/professional-fees-and-subscriptions
- 家で仕事をしている人は家での仕事に必要な経費。電話代、仕事によって発生した電気代など。プライベートと仕事の両方で使用しているコスト(家賃やネット)は申請できません。https://www.gov.uk/tax-relief-for-employees/working-at-home
- 仕事に必要なコンピューターなど。https://www.gov.uk/tax-relief-for-employees/buying-other-equipment
婚姻による減税策
もし、パートナーの1人の収入が12,570ポンド以下でもうひとりが12,500ポンド以上の収入がある場合、最大で252ポンドまでの減税が受けられるようです。https://www.gov.uk/marriage-allowance
まとめ
イギリスの税金と一般的な節税方法についてまとめてみました。もし間違いを見つけたら教えて下さい。
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